コンプレッサーが実際に何をしているのか、その技術がどこから生まれたのか、そしていつ使うべきなのか。 全20問、制限時間なし、メール登録不要、最後に解説付きの解答が表示されます。
コンプレッサーの最も基本的な役割はダイナミックレンジを狭めることです。スレッショルドを 超えた部分を下げることで、信号の中で最も大きい部分と最も小さい部分の差を縮めます。 まとまり感やパンチ感、体感的な音量アップなど、コンプレッサーが評価されるその他の効果は すべて、この基本的な働きの副産物にすぎません。
ダイナミックレンジとは、信号が最も静かな瞬間から最も大きな瞬間までどれだけ変動するかを 表すものです。ささやき声から絶叫まで変化するボーカルはダイナミックレンジが広く、 伸ばしっぱなしのシンセパッドはほとんどダイナミックレンジがありません。コンプレッションは その差をなくすのではなく、狭めるものです。
コンプレッサーはゲインを下げることしかせず、それもスレッショルドを超えた部分のみです。その後に 適用されるメイクアップゲインによって信号全体が持ち上がるため、結果的に音が大きく聞こえます。
スレッショルドを下回っている間は何も起こりません。上回ると、設定したレシオに応じてゲイン リダクションが適用されます。
レシオはスレッショルドを超えた信号に何が起こるかを表します。4:1では、スレッショルドを8dB 超える入力は2dB超えまで抑えられます。
部屋の周波数特性はイコライジングの領域であり、グラフィックEQやパラメトリックEQの仕事です。 残りの3つはすべてコンプレッサーの日常的な使い道です。
速いアタックは最初のスパイクを捉えてしまい、ヒット音を鈍らせます。遅いアタックならゲイン リダクションが働く前にトランジェントを通過させられるため、スネアのアタック感が残ります。
レシオが10:1以上になると天井のように振る舞い、∞:1では完全な壁になります。dbx 166xsのような ユニットは、この理由から両方の機能を1台に収めています。
コンプレッサーは大きすぎる信号に働きかけますが、ゲートは小さすぎる信号、つまりフレーズの 合間に入り込むかぶりや暗騒音を無音化します。この関係から、両者は同じシャーシに搭載される ことが多いのです。
検出回路に別のソースを送り込むことがダッキングの仕組みです。ページングマイクの信号が、 音楽にかかるゲインリダクションをコントロールします。ミックスエンジニアも、混み合った ミックスの中で余白を作るために同じ手法を使います。ベースをキックにサイドチェインして ローエンドがぶつからないようにしたり、リードボーカルが入るたびに伴奏楽器をダッキング して、ボーカルが常に前に出るようにするのです。
RMS(二乗平均平方根)は、信号を二乗して短い時間窓で平均し、その平方根を取ることでレベルに 戻した値です。単発のピークではなく平均的なエネルギーを追跡するため、人間が感じる音の 大きさに近い指標になります。一方、ピーク検出は瞬間的なスパイクを捉えるものです。dbxは 正確なRMS検出によってその評価を築いてきました。
「ニューヨーク・コンプレッション」とも呼ばれる手法です。1つの信号を強く潰す代わりに、 ドライなトランジェントを保ちながら、その下に隠れた静かなディテールを持ち上げます。
周波数依存型のコンプレッションです。検出回路が歯擦音の帯域を監視し、そこが大きくなると 信号をダッキングします。500 Seriesのdbx 520はまさにこの働きをします。
VCAのゲインはコントロール電圧によって決まり、その電圧はゲインを基準値より上 (ブースト)にも下(カット)にも動かせます。「増幅器」とは信号を何倍かする回路の ことにすぎず、その倍率が1より大きくなければならない理由はありません。コンプレッサーでは、 信号がスレッショルドを超えると検出回路のコントロール電圧がVCAのゲインを引き下げます。 同じ回路が信号を持ち上げることも容易にできるのに、ここでは下げるよう指示されている だけなのです。
コンプレッサーは大きい信号を下げることでダイナミックレンジを狭めます。エキスパンダーは その逆で、すでに小さい信号、つまり自身のスレッショルドを下回る部分をさらに下げることで、 最も大きい部分と最も小さい部分の差を広げます。このレシオを極端にすると、エキスパンダーは ゲートになります。dbxが266xsのようなユニットで両方の機能を1チャンネルに組み合わせている のはこのためです。この「圧縮してから拡張する」という考え方は、マルチトラックのテープ録音の ノイズを何十年にもわたって抑えてきた、dbxの名高いノイズリダクションシステムの基礎にも なりました。
ブラックマーは1971年にdbxを設立しました。ブラックマーVCA(電圧制御増幅器)と正確なRMS レベル検出で最もよく知られており、これらは同社のコンプレッサーとノイズリダクションを 支える2つの技術的基盤です。
放送技術者たちは、コンプレッションがスタジオツールになるずっと前から、送信機を保護する ためにリミッターを製作していました。dbxはそこからさらに技術を磨き、より正確で手頃な 価格のコンプレッサーを生み出しました。それはあらゆるレコーディングスタジオに欠かせない 定番となり、以来シグナルチェーンで最も人気のあるプロセッサーの一つであり続けています。
スレッショルドで急に折れ曲がる代わりに、OverEasyは徐々にコンプレッションへと移行するため、 動作していることが非常に聞き取りにくくなります。これはdbxを象徴する機能の1つになりました。
低歪みVCAと正確なRMS検出の組み合わせにより、当時のエンジニアが聞き慣れていたような アーティファクトを出すことなく、信号をしっかりと制御できました。今なお、このファミリーの 基準点であり続けています。
実際に3つともdbx 160が使われています。エンジニアのヴァル・ギャレイは、グラミー賞に 輝いたキム・カーンズの「ベティ・デイビスの瞳」でこのユニットをギターに使用しました。 彼が実際にこのユニットを初めて使ったのは、リンダ・ロンシュタットの『風にさらわれた恋』の ドラムでのことでした。そして数十年後、マイケル・ブラウアーはコールドプレイの 「ヴァイオレット・ヒル」でベースチャンネルをこのユニットに通し、強く潰しました。同じ コンプレッサーが、30年以上にわたってヒット曲を生み出し続けてきたのです。